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地産地消 美保関 白イカ

イカ釣り漁で活躍する若手のホープ

 松江市美保関町の七類(しちるい)地区は、イカ釣り漁が盛んな地域です。今回は、そんなイカ釣り漁業者の中でも一番の若手として活躍する、森脇究(きわむ)さんに、美保関のイカとその漁法についてお聞きしてきました。


漁業者の中でも一番の若手として活躍する、森脇究(きわむ)さん

美保関のイカ釣り漁

 夜の海に煌々と輝く集魚灯が想起されるイカ漁。美保関のイカ釣り漁も、そのイメージどおり、年間を通じて日没から明け方にかけておこなわれます。8月下旬のこの日も、前日16時半に出港して明け方4時15分に帰港した森脇さん。
 水揚げされたイカ(白イカ)は発泡スチロール製の箱に詰めて出荷されますが、この日は50箱と好釣果。同じくイカ釣り漁を営む父親の敏夫さんやJFしまねのスタッフ等、森脇さんの帰港を待ち構えていた人々とともにトラックへの詰め込み作業を迅速にこなし、最寄りの境港市場に出荷されていきました。
 イカの漁場として恵まれ、県外船も操業する美保関の沖合。大がかりな県外船などに較べ、手釣り主体の小規模漁業の多い美保関で、イカ釣り漁がもっとも盛んなのが、森脇さんのいる七類地区です。美保関はイカの種類も豊富で、1月はテナシイカ(ヤリイカ)、2月頃からスルメイカ、6~11月頃は白イカ(ケンサキイカ)が水揚げされます。


漁を終え帰港してきた森脇さんの船『凱歌丸』


船を停めるとすぐに水揚げ作業へ(左)
水揚げを終えた森脇さん(右)

自動イカ釣り機と小型船の機動力を活かした漁法

 森脇さんは、手釣りが主流の美保関イカ釣り漁師の中では珍しく、自身の船「凱歌丸」(6.4トン)に搭載した6機の自動イカ釣り機ですべての漁でおこなう、機械釣り専門の漁師です。手釣りの漁場が魚礁や沈船のある沿岸部(沖合約10km前後迄)に対して、40~50km迄の沖合が機械釣りの漁場。同じエリアで操業している10~19トンクラスの大型船と較べても、6.4トンの凱歌丸はかなりの小型船ですが、他の船に比べて速力と機動力があり、いち早く漁場に到着し、他の船が来る前に広範囲を探索することができるのです。また、とっさの場合でも速力を活かし、漁場の移動や撤収においても機動力を発揮します。
 こうした速力や機動力があるので、森脇さんは釣り方も他の船とは違います(※右図参照)。美保関では主流なのはアンカー(錨)を降ろしたポイントに留まり、そこで集魚灯に集まってくるイカを手で釣り上げていく釣り方。森脇さんのおこなうイカ釣り機を使用した漁法は、水中で開く特殊なパラシュートアンカーで潮の流れをキャッチし、その潮の流れに船を委ねながら集魚灯を焚き、そこに集まるイカを釣り上げていくというものなのです。


図右側のパラシュートアンカーで潮の流れをキャッチする。


漁で使用されるパラシュート付きアンカー

自分にできることをしっかりこなし
市場評価の向上を目指す

 そんな森脇さんが漁で一番気をつかうのが漁場の選択。そもそもイカは魚群探知機に映らないため、漁場を定める判断材料として、「イカの獲れる筋(すじ)を見つける」ことが重要だと森脇さんは言います。海中に西から東へと帯状に流れるイカの漁場があり、それを「筋」を呼ぶ森脇さん。「こういう筋を見つけるのは、もう漁を積み重ねていくしかありませんね。僕は漁師になって3年だけど、その中で培ってきた経験や、ベテラン漁師の仕事を参考にしながら、日々勉強のつもりでやっています」と続けます。
 こうして獲れたイカの鮮度保持はさらに重要で、釣り上げたイカは、すぐに氷が敷かれた発泡スチロールの箱に手際よく詰め込まれていきます。これを「箱を立てる」、「箱立て」と呼び、獲れてすぐに箱詰めすることから「沖立て」とも呼びます。
 手釣りに較べて漁獲効率に勝る機械釣りですが、「機械は手釣りほど丁寧に扱えないので活魚での出荷はしていません。それに自分の船にはシークーラー(水槽)設備もないので、箱立て(沖立て)の手際を磨くしかない」と森脇さん。
 父・敏夫さんから教わったという森脇さんの箱立て(イカの詰め方)は、大きさを揃えたイカを実に美しく詰め込みます。この丁寧な箱立ては仲買人や市場でも好評ですが、「値段に反映させるためにはまだまだ頑張らないと。とにかくこの箱立てをしっかりと継続していき、市場での評価を高めていくしかない」。漁業経営も同様で、「イカ釣りだけに執着しないこと。昔はイカ釣り一本で食っていけたけど、これからは多角経営で行かなくては。冬場は収入源を確保するためワカメの養殖も行っています。でもテナシやスルメイカも釣れる時期なので、逆に忙しくなるんですけどね」と笑う。森脇さんの挑戦し続ける漁師人生はまだまだ続きます。


ぴっちりと美しい箱立ては、親から子へ受け継がれていく

地産地消の精神を根づかせていく
多角的な取り組み

 水揚げされる時期が、そのイカがもっとも美味しく食べられる旬の期間。取材時(8月下旬)の旬は白イカですが、実は6月頃の白イカがもっとも身が厚く美味しいとのこと。イカの食べ方も、「特別な調理法などはありませんが、白イカだったら個人的には天ぷらが一番好き」と森脇さん。
 刺身のようにイカを開き、それを短冊状に切ったものに衣を付けて揚げていきます。白イカならではの柔らかい食感を損ねることなく味わえるそうです。同じく白イカだと一夜干しが絶品とのことですが、「夏場は管理が難しいし、海水で洗ったり干したりする作業に充てる時間もないし。美味しいことは分かっているんだけど、毎日忙しすぎてなかなか食べられないね」と苦笑いの森脇さんでした。

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