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隠岐の島町学校給食

学校給食を通じて子ども達に伝える地産地消

 小学校と中学校に提供される学校給食を通じて、地産地消の意義や大切さを子ども達に伝えていくという、隠岐の島町の取組み「ふるさと給食の日」。平成9年から始まったという、町をあげてのこの取組みに発足時から関わってきた、西郷中学校の土中久美子栄養教諭に、詳しくお聞きしました。


西郷中学校の土中久美子栄養教諭

地産地消をテーマに始まった「ふるさと給食の日」

 「ふるさと給食の日」の給食は、地産地消をテーマに、献立は隠岐でとれた農林水産物のみで構成されているのが特徴です。
 もちろん、通常の給食にも地元の食材は使われていますが、この日は郷土食や、旬の食材を特に多く盛り込んだ地産地消のメニューになっています。
 また、ただ子ども達が食べるだけでなく、それを教育につなげていく食育活動にも積極的です。例えば生産者を招いて交流給食をしたり、その日の給食の食材をテーマにした特設授業をしたりと、さまざまなスタイルで地元食材の理解を深めてきました。

 この取組みが始まったきっかけは、平成9年に遡ります。島外から赴任してきた当時の島根県隠岐支庁長が、隠岐の食べ物や環境の良さに感激、「この素晴らしさをもっと広めていく手段はないか?」と支庁長自らの声かけでした。
 それは土中さんたち学校給食の関係者はもちろん、野菜の生産量向上などを目指していた隠岐支庁農林局などの思いや目的ともつながり、すぐに「ふるさと給食の日」という大きな取組みに発展します。土中さんも、「私たちも隠岐ならではの食材を使った何らかの取組みが出来ないか?と常日頃から考えていて、各学校独自の活動をしていたこともあったので、すぐに具体的な行動に移すことができたのだと思います」と当時を振り返ります。


中学校の給食委員会の様子。給食に用いられる地元食材について学びながら、学内に広報するポスターを作成。


7月の「ふるさと給食」メニュー例。さざえごはん、もずく汁など地元ならではの食材が並ぶ。

地産地消に魚食推進が加わり取組みが発展

 現在、小学校7校、中学校4校に養護学校を加えた12校を対象に、毎日1236食が提供される隠岐の島町の学校給食ですが、取組みが始まった平成9年は、西郷町、都万村、五箇村、布施村と1町3村に分かれていました。
 土中さんも、都万村の専任栄養士として取組みに関わってきましたが、平成17年の町村合併により取組み自体も大きく変化していきました。
 その一つが、隠岐支庁水産局と連携して魚食普及に取り組むようになったことです。
 農産物を中心としていたメニューに、魚食という大きな柱が加わり「ふるさと給食の日」は、隠岐でとれた魚を用いた料理を中心に、地元産の野菜や果物がセットされる献立となり、現在まで続いています。

 ここで昨年度(平成28年)の給食の内容の一部を紹介します。
4月:いかめし、ぶりの照り焼き、タケノコの木の芽あえ、むらくも汁、牛乳、ゼリー
9月:あらめごはん、しいらフライ、いかサラダ、すまし汁、牛乳、オレンジ
12月:さざえカレー、豆カツ、切り干し大根サラダ、牛乳、キウイフルーツ
といった多彩な内容が提供されています。

 7月は出雲市のデラウェアを使ったデラ・ゼリー、9月は飯南町のびわ入りアイスと、県内の他の市町村の食材を使ったコラボレーションも始めています。
 土中さんたちは、毎回のふるさと給食に合わせて、その時に使われた魚介類に関する新聞や、栄養価、食べ方、そして地域との関わりなどを内容に盛り込んだ「食育だより」などの印刷物を配布。子ども達だけでなく、家庭や地域にも魚食や地産地消を波及していくという活動に発展させています。


(左)4月:いかめし、ぶりの照り焼き、タケノコの木の芽あえ、むらくも汁、牛乳、ゼリー
(右)9月:あらめごはん、しいらフライ、いかサラダ、すまし汁、牛乳、オレンジ


(左)12月:さざえカレー、豆カツ、切り干し大根サラダ、牛乳、キウイフルーツ
(右)子ども達、家庭、地域に親しまれる食に関する情報を様々な形で発信している。

隠岐ジオパークとのユニークなコラボレーション給食も実現

 また昨年9月、隠岐ジオパーク推進協議会とのコラボレーションでおこなわれた「ジオ給食」という新しい取組みも実施。ここでは、当時五箇小学校4年生の男子が考案した、日本最古の石「隠岐片麻岩」をイメージした「へんまこくようパオ」(※パオとは中華まんの一種)が提供されました。男子生徒のイメージ画を元に、隠岐の食材(藻塩、アラメ、サザエ)を使用した、土中さんたち製作陣の労作で、出来上がったパオも子どもたちに大好評、この給食の話題はテレビや新聞にも取り上げられました。

地産地消の精神を根づかせていく学校給食の
取り組み

 こうしたさまざまな取組みもあってか、給食を残す生徒が激減したという嬉しい効果もあらわれていると土中さんは言います。「ふるさと給食を通じて、隠岐の食材、旬の食材を発信していくことで、給食を食べながら食材について会話するなど、子どもたちが直接関心を持ってくれたり、また、その話題が家庭にもつながっていったりと、そういう何気ないものが積み重なっていくことで、地産地消の精神が伝承されていくのだなと実感しています」と土中さんは続けます。
 「ふるさと給食の日」から始まった隠岐の島町給食センターの地産地消の取組みは、今後も拡大されることが期待されます。